第675章 彼女は黙ってはいない!

渡道ホール。

高倉海鈴は電話を受けた。「海鈴、調査を済ませました。あなたと藤原社長を狙ってトラックで突っ込んだのは高倉彩芽で、車の中の変わり果てた女性の遺体のDNAを照合したところ、間違いなく彼女だと確認できました」

本当に彼女なの?

高倉海鈴:「前回の調査結果と同じですね!」

秋山明弘:「誰かが手を加えることを恐れて、今回は私が直接調査しました。間違いありません。警察も事件を終結させました」

実際、高倉海鈴は分かっていた。高倉彩芽は単なる駒に過ぎず、黒幕は山田莉央と陸田進だということを。彼らが高倉彩芽を操って全てを仕組んだのだ。ただ一つ不思議なのは、あれほど死を恐れていた高倉彩芽が、なぜ復讐のために命を捨てたのだろうか?

陸田進、山田莉央、誰一人として逃がさない!

「海鈴、師匠が新しい料理を作ったから、料亭の清庵で味見してほしいと言っていたよ。久しぶりに会いたがっているみたいだ」と秋山明弘は言った。

高倉海鈴は笑顔で頷いた。以前、藤原徹と一緒に料亭の清庵に行ったことがある。確かに雰囲気も良く、料理も美味しかった。そのため予約が取りにくく、数日前から予約を入れなければならないほどだった。

師匠にも久しぶりに会えるし、藤原徹の体内にあるもう一つの人格について聞いてみるのにちょうど良い機会だ。

電話を切ると、藤原明からメッセージが届いた。夏目家が夏目彩美と久保政宗を連れて行ったが、久保真美は東京に置き去りにしたという。結局、久保真美は夏目家とは何の関係もなく、夏目家も余計な面倒は避けたかったのだろう、彼女の生死には関心を示さなかった。

藤原明:【海鈴、話があるんだ。母さんが兄さんの事故のことを知って、数日間家で療養させたいって言ってるんだけど、どういうつもりなんだろう?母さんが藤原徹のことを心配するはずないのに!今になって帰ってこいって言うし、青山怜菜も呼び戻したし。】

高倉海鈴は尋ねた:【藤原家の方は他に何か言ってた?】

藤原明は答えた:【特には。ただ藤原徹が事故に遭ったのはあなたのせいだって。あの人たちの本当の標的はあなただったって、つまりあなたに責任を押し付けてるんだ!】

高倉海鈴は平然とした表情を浮かべた。藤原家が自分たちに関係があることを認めるはずがない。でも、このまま済ませるつもりはない。