第701章 専門家の鑑定

藤原徹は陸田進を一瞥し、真贋鑑定を提案した彼の真の目的は何なのかと考えた。

陸田進は冷静に言った。「今日のパーティーに書画の専門家がいらっしゃると聞きましたが、その方に誰の作品が本物か鑑定していただいてはいかがでしょうか?」

伊藤仁美は落ち着いた様子で「陸田さんのおっしゃる専門家とは、山本先生のことでしょうか?」と尋ねた。

陸田進は頷いて「はい」と答えた。

その言葉が終わるや否や、すでに誰かがその老先生を呼んできていた。彼は高慢な様子で入ってきて、群衆の中を見渡し、伊藤仁美と目が合うと、わずかに微笑んだ。

「伊藤さん」

伊藤仁美は穏やかに言った。「山本先生、私と藤原奥様の贈り物は両方とも田中さまの遺作『千字壽』なのですが、どちらが贋作か鑑定していただけませんでしょうか」