第719章 藤原家に異変が起きる

藤原徹はパソコンを置いて、さりげなく尋ねた。「誕生日会はまだ続いているのに、彼は何をするつもりだ？今、祖母は引きこもっているから、明らかに全てを彼に任せたということだ。藤原家は変わろうとしているな」

「山田莉央の陰謀を暴いて、彼女があなたと藤原明の実の母親ではないことを証明するつもりです」高倉海鈴は言い終わると、彼が藤原徹のことをよく理解していて、すでに察していただろうと感じた。

藤原徹は冷静な表情で、しばらく沈黙した後、思わず笑みを浮かべた。「それだけか？彼はこれほど長い間我慢してきて、ただそのことを証明するためだけか？」

男は軽蔑するように冷笑した。「それに、どうやって証明するつもりだ？山田莉央は必ず藤原徹の証拠は偽造だと言うだろう。彼女を告発するにはもっと強力な証拠が必要だ。DNAの報告書だけでは何も証明できない」

高倉海鈴：「医師会の鑑定報告書ならどうでしょう？」

その言葉が終わるや否や、高倉海鈴の携帯が鳴り、電話に出ると秋山明弘の声が聞こえてきた。「海鈴、松下さまが辞職したことを知っているか？」

秋山明弘は医師会からの連絡を受けたばかりで、すぐに藤原徹のことを思い出した。当時、山田莉央が藤原徹を藤原家に連れ戻した時、親子鑑定を行った。藤原家は当然適当な人物に依頼するわけにはいかず、医師会と医学界で名声のある松下さまに依頼した。彼の提出した報告書が偽物であるはずがなく、藤原徹は山田莉央の子供として、藤原家の私生児となった。

松下さまがこのタイミングで辞職し、DNA報告書を偽造したと告白したことで、藤原徹の身分に疑問が生じることは避けられない。

「お兄さま、情報は受け取りました」

秋山明弘は少し躊躇した後、「海鈴、この件について調査した結果、これは我々医師会の過失だ。藤原徹に私からの謝罪を伝えてくれ」

世界的に権力に屈せず、名誉や富を追い求めないことで知られる医師会でこのような事態が起きたことで、藤原徹は二十年以上も私生児という汚名を背負うことになった。

「海鈴、心配するな。この件は私が助力する。すでに松下さまの護送を手配した。今回は絶対に過ちを起こさせない！医師会の立場からすれば、これは我々の過失であり、我々が償うべきことだ。兄としての立場から言えば、お前は私の妹で、藤原徹は私の義弟だ。当然全力で助けるつもりだ」