第764話 ブスは事を荒立てる

高橋研二郎と斎藤雅也という師弟は油絵界で非常に有名でしたが、その功績のほとんどは高橋研二郎のものでした。斎藤雅也が今日の地位を得られたのは、高橋研二郎のおかげでした。

ある人が感嘆して言いました。「斎藤さん、あなたの弟子は若くしてこれほどの成果を上げていますね。私は40歳になってようやく油絵展に参加する資格を得ましたが、彼女は20代前半でもう資格を得ているなんて、若い世代は本当に恐れ入りますね!」

斎藤雅也は笑いながら言いました。「仁美はただ才能が高いだけでなく、謙虚で学ぶ姿勢があることが何より貴重です。ただ、皆さんもあまり褒めすぎないでください。彼女が傲慢になってしまうといけませんから。」

「斎藤さん、お二人の弟子を取られたと聞きましたが、もうお一人の方は?」皆は斎藤雅也が一度に二人の才能豊かな弟子を取ったと聞いて、羨ましく思っていました。

ところが斎藤雅也は突然表情を変え、「高倉海鈴のことですか?」と言いました。

皆は答えました。「その娘さんの名前は知りませんが、バラの花を描いて、とても生き生きとしていて感動的だったと聞きました。今日も展覧会に来ているのですか?」

斎藤雅也は不機嫌な口調で「彼女には展覧会に参加する資格はありません!」と言いました。

傍らにいた伊藤仁美は急いで説明しました。「実は高倉さんは入門していないんです。彼女はあまりにも傲慢で、見下すような態度だったので、先生は最終的に彼女を受け入れなかったんです。」

皆も伊藤仁美の言葉の意味を理解しました。高倉海鈴が斎藤雅也に師事することを拒んだということでした。20歳の若い娘がこんなにも傲慢だとは!

「高倉さんには確かに才能はありますが、それは素直な性格からくるものです。」伊藤仁美のこの一言で、皆は高倉海鈴を傲慢で恩知らずな人間だと思うようになりました。

皆は追従して言いました。「たとえ才能があっても、目上の人をそのように軽んじるべきではありません。そんな人格の弟子は取らないほうがいいですよ。斎藤さんには伊藤さんのような優秀な弟子がいるのですから!」