第809話 彼は役立たず

その時、通りがかりの人々は老人の怒鳴り声を聞いて息を飲んだが、その声色の硬さには気づかなかった。

人々が反応する間もなく、高倉海鈴は目に涙を浮かべ、か弱い白い花のように、「陸田さま、これほど長い間、藤原徹は私生児という汚名を背負い、陸田家の報復に耐えてきました。今やっと本当の身分を取り戻したのに、陸田家は一言の謝罪もなく、徹に資源を陸田進に譲るよう強要しています!二人とも貴方の外孫なのに、なぜ陸田進の味方をするのですか?しかも陸田進は商才がなく、すでに陸田家に数十億もの損失を与えているのに、それでもこだわるのは、あまりにも独断的ではありませんか!」

陸田進は怒りに拳を握りしめた。

次の瞬間、陸田の祖父は憑かれたように怒鳴った。「たとえ陸田進に商才がなくても、それでも我が陸田家の孫だ。すべての資源を彼に与えるつもりだ!」