今、伊藤仁美と伊藤の奥様を見ると、昔の恨みが心に浮かび、忠司は全身から冷たい雰囲気を漂わせながら、「伊藤仁美は冬島音のことを言及したようだ。冬島音と高倉海鈴の関係を調べてみよう。高倉海鈴の実力からすれば、誰かの作品を盗作する必要なんてない。伊藤仁美は絶対に彼女を陥れようとしているんだ」と言った。
沙織もそう思っていた。クロシオのことは好きではなかったが、クロシオには確かな実力があることを認めざるを得なかった。そして、クロシオは高慢な性格で、盗作など決してしないだろう。
以前はクロシオが嫌いだったが、伊藤仁美と比べると、クロシオもなかなか可愛らしく思えてきた。しかも、クロシオと伊藤仁美は仲が悪い。敵の敵は味方だ。これからはクロシオとうまく付き合っていこうと決めた。