第802話 香水交流会

忠司は頷き、沙織の言うことにも一理あると思った。

その時、陸田進が隅に歩み寄り、傍らの秘書に低い声で命じた。「打撲薬を買ってきてくれ。」

「はい!若旦那。」

忠司はその声に振り向き、思わず尋ねた。「彼が墨野静の実の弟なのか?」

沙織は眉をひそめながら観察して、「似てないわね。墨野静とは全然似てないし、墨野静ほどイケメンでもないわ!」

陸田進もイケメンの部類に入るが、藤原徹と比べると平凡に見え、実の兄弟とは思えないほど似ていなかった。

忠司は注意を促した。「外見だけで人を判断してはいけない。藤原徹は幼い頃から私生児として育てられ、今では陸田家とは水と油の関係だ。一方、陸田進は陸田家の寵児として育ち、陸田家と藤原家の後継者として育てられた。藤原徹よりも恵まれた環境にいたんだ。」