宴会場の外で、マイバッハが停車し、豪華な装いの男女が車から降りてきた。
高倉海鈴は耳に埋め込み式イヤホンを付け、いつでも鈴木薫と連絡が取れるようにしていた。首のネックレスにも針穴カメラが仕込まれており、映像を彼に送信できるようになっていた。
白川梢という名前で渡辺祐介に近づき、わざと別の場所で待っていたことで、渡辺祐介が自ら彼女をパーティーに迎えに来ることになり、渡辺祐介の隣にいる女性が藤原奥様だとは誰も疑うことはなかった。
藤原徹は遠くで車から降りる女性を見つめ、目を細めた。
渡辺祐介は高倉海鈴を宴会場に連れて入った。高倉海鈴は先ほど何が起きたのか知らなかったが、ただその男性を避けたいという一心で、不自然さを悟られないようにしていた。
記者たちは質問を続けた。「藤原社長、お相手の身分を明かしていただけませんか?」