第975章 正義は人の心にあり

高倉海鈴は真剣な表情で藤原明を見つめていた。彼女は本当に藤原明の知能に問題があるのではないかと疑っていて、時間があるときに検査に連れて行こうと思っていた。早期発見、早期治療が大切だから。

二人はゲームを数回プレイし、ソファに寄りかかってぼんやりとスマートフォンを見ていた。藤原明が突然起き上がり、何か言いかけて躊躇した後、結局スマートフォンを高倉海鈴に渡して「これを見てよ」と言った。

高倉海鈴はスマートフォンを受け取って一目見ると、言葉を失った。

【夏目茜:個人的な理由により、私は『デザイナーの誕生』から降板することを決意し、今後二度とこの番組に参加することはありません。公平性を失った競争に意味はなく、番組側が特定の人物を擁護する以上、私の存在価値はありません。】

このメッセージが投稿されるや否や、多くのネットユーザーが注目した。夏目茜はトップ女優ではないものの、良い仕事を多く手がけており、以前も一時期話題になっていた。参加者の中で最も知名度が高かった彼女が、なぜ突然降板を宣言したのだろうか?

ファンたちは次々とコメントを残した:【私たちの茜が不当な扱いを受けたの?一体何があったの?誰か知ってる?】

【この番組は服飾デザインのコンテストでしょう?裏で何か操作があったんじゃない?田村圭さんが言ってたけど、茜はデザインを体系的に学んでないけど才能があるって。きっと番組側が特定の参加者を贔屓してるから、茜が降板を決めたんだわ。】

【茜はいつも性格が良いのに、こんなに怒らせるなんて、きっと彼らが度を越えたことをしたに違いない!@デザイナーの誕生制作チーム】

ファンたちは憤慨し、次々と番組スタッフを罵倒し、ディレクターやプロデューサーのコメント欄は罵声で埋め尽くされた。

高倉海鈴はこの件に違和感を覚えていた。夏目茜はデザイン画を盗作し、事態が大きくなってから降板を宣言した。以前、番組側が夏目茜を擁護したのは50億円の投資があったからだが、今は投資も失われ、番組側が夏目茜を容認するはずもなく、彼女の代わりに非難を被るつもりもないはずだ。

このことは夏目茜も分かっているはずで、今は存在感を薄めて身を隠すべきで、誰かに追及されることを恐れるべきなのに。現場には大勢の証人がいて、彼女の嘘はすぐにばれるはずなのに、こんな行動は自滅行為に他ならない。