第069章 一杯濁り酒を

富貴は大切に育てた雌のタカを飼っていた。そのタカは獲物を逃したことがなく、一撃必中だったが、ある時、山跳びウサギを捕まえようとして失敗した。ウサギがタカに急降下されて尻を掴まれた時、振り返らなかった。目を潰されるのを避けるためだ。代わりに、肉に爪を食い込ませたタカを引きずって酸棗の林に突っ込んだ。タカは最初爪を離そうとしなかったが、蒺藜と棗の棘に刺されて痛くなり、狡猾なウサギを諦めようとした。しかし遅すぎた。もがけばもがくほど傷つき、棘に刺されて血まみれになり、羽根はボロボロになって林に落ち、息も絶え絶えになった。陳二狗と富貴はただ無力にその死を見守るしかなかった。

熊ちゃんはそんな経験がなく、もしその光景を見ても面白いと思うだけで、深く考えることはなかっただろう。彼は蘇北で土皇帝のような吳煌とは違い、東南沿海で根を張る「大きな木」の談心とも異なっていた。熊ちゃんには下を見る視野も余裕もなく、前を見て、上を見るしかなかった。さもなければ、家族は彼の代で終わってしまう。ある意味で、黒クマは目が見えないからこそ恐れられるが、しかし盲目が常に最後に笑えるわけではない。趙家のお爺様は人に情けをかけることも、許すべき時に許すこともしなかったが、少なくとも人を死に追い込むことはなく、追い詰めた上で更に侮辱することもなかった。

しかし吳煌が言うように、熊ちゃんの二十数年は順風満帆すぎた。詠春拳の修行で多少苦労し、軍隊でも命を懸けたが、仕事も恋愛も順調だった。より裕福な家柄の若者を打ち負かし、美しく気品のある女性と付き合い、軍区最高の偵察兵を倒し、前途は洋々としていた。まさに錦上花を添えるといった具合だった。だから談心のような物事を全面的に見られる傍観者も、このような若者が傲慢で横暴であっても大きな過ちではないと考えていた。