第40章 白馬探花・陳慶之

山西太原、古くから「雄藩巨鎮、賢に非ざれば居らず」という言葉があり、夏商周から明清まで、これはずっと漢民族と少数民族が激しく争う大きな戦場であった。そのため太原一帯は古くから戦いに慣れ、人々の性格は剛直で、骨の髄まで「薛王が降伏しても民は降伏せず」という頑固な精神が染みついていた。

太原市杏花嶺区のある古びた住宅団地で、一つのバルコニーだけが十数鉢もの色とりどりの花々で埋め尽くされていた。数鉢のオリヅルランが特に目を引き、画龍点睛の霊気を放っていた。素白の麻の服を着た少女がバルコニーに立ち、蘭の花に水をやっていた。目を閉じ、穏やかな表情で、微笑みを浮かべ、世俗と争うことなく、まるで山西の女性らしからぬ、蘇州江南の水辺の しとやかな女性のようであった。

彼女の後ろには身長178センチほどの男が立っていた。二十八九歳くらいで、優しい眼差しで少女を見つめていた。露店で二十数元で買えるような安価なTシャツを着て、靴も最も普通のノーブランドの運動靴で、ズボンも最も古いスタイルのものだった。三線都市でも田舎くさく見えるような服装をしているこの男だが、路傍の字も読めない餃子売りのおばさんでさえ気付くような、何か特別なものを持っていた。実際、彼は非常に物腰が柔らかく、儒雅とさえ言える外見で、万巻の書を読破した後にのみ得られるような気質を持っていた。しかし、その冷淡な細長い瞳と血のように赤い固く結んだ唇は、太原人の骨の髄まで染みついた険しさを露呈していた。だが、この女性的な容貌でありながら陽気な気性を持つ男が笑みを浮かべると、まるで北嶽恒山の老白酒のように、一口で人を酔わせるのだった。このような陰陽の調和がとれた男が、もし権力でも持っていたら、間違いなく女性たちを虜にできるだろう。

彼は優しく話しかけた。少女の邪魔をしないように。「象爻、仕事に行かなきゃ」

少女は振り向いて、笑顔を見せながら言った。「生徒に意地悪しちゃダメよ」

男は微笑んで答えた。「わかってるよ」