第48章 私の男_2

陳二狗は空っぽの病室に一人佇み、曹蒹葭から貰った一元硬貨を取り出した。拳を握り、指の間で硬貨を転がす。これは映画から学んだ小技で、練習を重ねた結果、今では陳二狗はZippoライターで七、八種類のトリックができるようになっていた。突然ポケットが膨らんでも夜の街に繰り出すことを知らない若者にとって、陳二狗の生活は同年代の若者たちが眉をひそめるほど「異常」なほど健全だった。Zippoで遊ぶのも、頭の中にある上流階級の世界に近づこうとする努力の一つで、ゴルフを学ぼうとするのと同じ理由だった。

長い間、周驚蟄や王虎剩がいた時は冷静さを保っていた陳二狗の顔が徐々に歪んでいった。極めて少数の例外を除いて、彼は見返りを求めない善良な人間ではなかった。阿梅食堂で十分の力を出して働けば、十分の給料を得る。店主の阿梅は一銭も少なく払わず、だからこそ陳二狗は全力を尽くした。SDバーのデブ陳慶福も彼に借りはなく、だから陳二狗も誠心誠意働いた。南京に来て、方婕が対価を払う気があったから、陳二狗も命を賭けて彼女のために戦った。しかし今日の冷水は、陳二狗の心を凍らせた。この仕打ちは、趙鯤鵬のような露骨な威圧よりも痛かった。

孫爺さんは身分を隠した大物だった。亡くなった時、時々果物を持って来て野生人参酒を作ることも忘れなかった陳二狗に何も物質的なものを残さなかったが、陳二狗の心には何の引っかかりもなかった。孫爺さんのような立場の老人と話をし、人生を語り、将棋を指すことは、最初から何かを期待していなかった陳二狗にとって心が安らぐものだった。後に趙鯤鵬と遭遇し、苦しめられ、激しい反撃に出た時でさえ、今日のような苦悶はなかった。陳二狗は納得できなかった。その歪んだ蒼白い顔には怒りが満ちていた。もし方婕がこの見知らぬような表情を見たら、きっと少しは後悔したかもしれない。彼女は結局、この山水華門の小さな警備員の心を甘く見すぎていたことを理解したはずだ。

暴走。