梅ちゃんは昔から、男が自分だけ惨めな思いをするのはまだしも、自分の女までも巻き込んで苦しめるなんて、それが何の英雄だというのかと思っていた。
陳二狗は頭が良かったので、梅ちゃんの予想通り一人で去っていった。梅ちゃんには、全てを胸の内に秘めた陳二狗の鬱憤や、沐小夭に対する深い罪悪感が想像できた。おそらく、純真で素直な沐小夭は一生、音もなく消えていったり、ある日突然現れたりするあの男が、沈黙を保ち続けた歳月の中で一体何をしたのか、何を考えたのか、何を背負ったのか、何を耐え忍んだのか、孤独だったのか、それとも強情を張っていたのか、きっと理解することはないだろう。
誰かを好きになる、あるいは愛する。それにはどうすれば適切なのだろうか?
これは一つの問題であり、非常に深遠な問題だった。
北京大學哲學部で二年を過ごした梅ちゃんは、それが本当に空虚で無意味な、くそったれな問題だと感じていた。
この瞬間、タバコを吸いながら、梅ちゃんは隣にいる型破りな張兮兮が本当に賢い女性だと突然気づいた。あんなに気楽で束縛のない生活を送れるなんて、本当に素晴らしい。
「小夭、二狗はいい人よ」長い間考えた末、梅ちゃんは結局、張兮兮が極めて軽蔑するような、そんな当たり前のことしか言えなかった。
沐小夭はうなずき、感謝の気持ちを込めて微笑んだ。
アパートのある団地への帰り道、張兮兮は携帯に梅ちゃんからのメッセージを受け取った。気をつけて、沐小夭と一緒に目立ちすぎないようにという内容だった。張兮兮は「分かった」という二文字だけで返信した。アパートの建物に入り、階段を上がると、張兮兮は目を見開き、沐小夭は口を開けたまま呆然とした。
スーツを着こなした男が立っていた。典型的なホワイトカラー階級の姿だった。
阿梅食堂やsdバーでアルバイトをしていた時の陳二狗とは、まるで別人のようだった。
張兮兮は驚きの声を上げ、陳二狗の服を脱がせて解剖してみたいくらいだった。