葉黙の怒り

葉黙が一人で戻ってくると、速度はずっと速くなった。途中で遠回りして薬材を採取しても、わずか三日で流蛇に置かれた住まいに戻ることができた。

しかし、そこの光景は葉黙を激怒させた。たった二十日ほどの間に、自分の住まいは見る影もなく、至る所が廃墟と化していた。それだけならまだしも、最も荒らされたのは彼が開墾した畑だ。「銀心草」を栽培していた場所が完全に破壊されてしまった。

「パン」という音とともに、葉黙は臼ほど大きな石に蹴りを入れ、真気を注ぎ込むと、その石は粉々に砕け散った。

今の彼が一番大事にしているものはあの「銀心草」だ。しかもこの畑には一度に十九個の種も植えていた。しかし今、「銀心草」を栽培していた場所がこのような状態になった。あの方南は一体、どういう管理をしているんだ?

葉黙が流蛇街に行き、方南に文句を言おうとした時、誰かが慌ただしく走ってきて、廃寺の前に立つ葉黙を見つけると、すぐに近寄って恭しく話しかけた。「葉さん、南さんはここでお待ちするように言いつけましたが、ようやく戻ってこられましたね」

あれは二十歳そこそこの青年で、葉黙がちょうど知っている人物だ。最初に方南に会った時、方南の後ろに立っていた石頭と呼ばれた男だった。

葉黙は心の怒りを抑えた。「銀心草」は彼にとって何よりも重要なものだ。今や一気に半分が破壊されてしまい、怒るのも当然だ。しかし怒りを感じながらも、彼はそれを抑えた。彼は状況を理解せずに怒りを爆発させるような人間ではない。しかし実際の状況さえ分かったら、場合によってその「銀心草」を壊した者は、命で償うこともあろう。

石頭は葉黙の不機嫌な表情を見て、急いで説明した。「葉さん、あなたが出発された後、「十三太保」が潰れたきっかけに、南さんと流蛇のもう一つの組織、「ベトナム組」との間で利益の衝突が起きました。本来なら南さんは「ベトナム組」など、恐れることはなかったのですが、「ベトナム組」は任侠の道義を無視して、「フィリピンギャング」と結託してこの「朴刀会」に突然の襲撃を仕掛けてきたのです。