数刻の後。
方夕は白雲武館に戻った。
「師弟よ、どうだった?」
劉濤濤と唐旋が即座に駆け寄ってきた。
彼らも先ほどの武館の騒乱の際、固く留まることを決意した内門弟子の一人だった。
方夕は首を振った。「あの怪物たちが巣に戻る機会に乗じて、城門の位置を見てきたが……城外はすでに黒い霧に包まれていて、通り抜けようとすると奇妙な力に阻まれる。恐らく、黒石城は本当に内外が隔絶されてしまったようだ。」
唐旋は即座に絶望的な表情を浮かべた。
方夕は街の中心にそびえる樹冠を見つめながら、思案げに言った。「提案だが……我々はまず黒石城の端、城壁の近くに移動して、拠点を設けるべきだと思う……」
「なぜだ?」
質問したのは慕縹緲だった。彼女は父を部屋で休ませた後、ずっと黙っていたが、ようやく口を開いた。
「あの妖魔の木が、まだ伸び続けているからだ……」
方夕は説明した。「樹冠の下にいる生き物は、必ずあの垂れ下がる気根に邪魔されることになる。間違いなく非常に危険だ……」
彼の心の中には、まだ言い出していない推測があった。
それは妖魔の木が絶え間なく成長し続けるということだ。
このままでは、いつか雲をつくほどの高さになり、樹冠が天空界に代わって黒石城全体を覆うことになるだろう!
その時こそが、黒石城全体の終末の日となる!
「もちろん、この妖魔の木に理性があって、人間の一部を意図的に飼育して、定期的に享受する可能性も否定できないが……」
「魔……実に興味深い生き物だ!慕蒼龍の話によると、この封鎖の手段は『魔域』というものか?確かに陣法の萌芽のような味わいがあるな。」
「ゴホッ、ゴホッ!」
慕蒼龍がいつの間にか出てきて、咳き込んだ後、言った。「方夕の言う通りだ、彼の言う通りにしよう……それと、武館の移転に際して、他の物は捨ててもいい、我々に必要なのは食料と清水だけだ……」
「お父様、お体は?」慕縹緲は心配そうに父を見つめた。
方夕も、慕蒼龍の体にあるオタマジャクシのような黒い模様が更に広がり、すでに顎まで這い上がっているのに気付いていた。
「無駄だ、これは毒であり、『呪い』なのだ!」
慕蒼龍は苦笑いしながら答えた。
「師匠、『呪い』とは何でしょうか?」方夕は興味を示した。