南荒修仙界。
天仙樓。
火爐の上の紫砂壺から湯気が立ち上っていた。
葛洪丹は長袖の寛衣を着て、髪を結い上げ、烏木簪を差していた。とてもくつろいだ様子だった。
彼は茶壺を持ち上げ、方夕にお茶を注いだ。「お茶を淹れる水は、雪解け水が最高で、山の湧き水がその次、雨水がその次なのです……これは私が去年取っておいた雪解け水です。去年は天候に恵まれ、初雪も丁度良い時期に降りました。道友、味はいかがですか?」
「霊泉の水には及びませんね!」
方夕は正直に答えた。
葛洪丹は一瞬言葉を失い、顔に自卑の色が浮かんだ。
彼のような修行の道を完全に諦めた修行者にとって、金銀財宝や世俗の権力を得るのは容易いが、修仙界に関するものは全て手の届かない夢物語だった……
皮肉なことに、全ての修行者にとって、一椀の霊米でさえ、どんな珍味よりも価値があるのだ!
継ぎ当てだらけの破法衣でさえ、王侯貴族の千金の毛皮衣よりも格が上なのだ!
修仙界では、修行に関係のないものは全て、蔑視の対象の最下層なのだ。
「はは……でも、このお茶は美味しいですよ。」
方夕は笑って気まずい空気を和らげ、尋ねた。「葛道友、私が必要としているものは?」
「既に用意してあります。ご覧ください!」
葛洪丹は気持ちを切り替え、机の上に一枚の巻物を広げた。そこには山川河流が描かれており、越國の地形図だった!
古人にとって、地図は非常に貴重なものだった。
修行者にとっても、それは同じことだった。
「道友、ご覧ください。嘉合城はここにあります!」
葛洪丹は地図上の極めて小さな場所を指さした。
方夕は注意深く見て、やっと嘉合城の位置を見つけた。その近くの青竹山市場には目立つ印が付けられていた。
そして青竹山市場全体は、越國と呼ばれる領域の北東部に位置していた。
この地図は大きく、越國だけでなく、隣接する木國、武國も描かれていた……三國が鼎立している様子が見て取れ、越國は最北に位置していた。
三國の境界部分には巨大な山脈があり、「丫」字型に延びて三國を分断していた。
これが'萬獸山脈'で、その奥深くには結丹期の三階妖獣さえ出没すると伝えられていた。
そして越えられる峠には全て、修行商區と要塞が設置されていた。