薬の効果で、体中の刺青がみるみるうちに溶けていく。
雨宮由衣は熱い湯に浸かりながら、フェイスマスクをして目を閉じ、しばらく休んだ。
目を覚ますと、バスタブの水は真っ黒に濁っていた。
そして彼女の体…
刺青が消え、本来の姿が露わになった。
彼女の刺青は肌に害のない一時的なものだった。胸にある赤い三日月型の痣を除けば、全身に傷一つなく、まるで上質な白玉のように滑らかで、月光に照らされた雪のように白く透き通っていた。
前世では、衝動的にタトゥーを入れてしまったこともあった。その刺青は7年間ずっと彼女の体に刻まれていたため、彼女は7年間も自分の本来の体の様子を知らなかった。
今、本来の姿を見ると、自分でも驚くほど、彼女の肌は美しかった。
さらに今の彼女はまだ20歳。女性の肌が最も美しい時期だ。
フェイスマスクをはがした後、雨宮由衣はバスタブの汚れた水を抜き、もう一度体を洗い流した。
浴衣を着て、ドレッサーの前に座った。
鏡に映る少女は、淡く描かれた眉がまるで遠くの山々のようだった。高く整った鼻筋、桃の花のように瑞々しい唇の色は、それだけでも十分に美しい。しかし最も目を引くのは、まるで秋の湖水を湛えたような瞳だった。光が揺らめき、星のように輝いている。
濃い化粧のせいで乾燥してくすんでいた肌も、フェイスマスクのおかげで最高の状態に戻り、体と同じくらい滑らかになっていた。
しかし、これは一時的なもので、フェイスマスクなどの美容ケアは、肌の状態を短時間だけ良くするだけで、特に緊急用のフェイスマスクは根本的な解決にはならないことを、雨宮由衣は分かっていた。
顔の肌を完全に回復させるには、まだ時間をかけてケアする必要がある。
美容院でセットしてもらった奇抜な髪型も、洗って乾かすと元の状態に戻った。墨のように黒い、腰まで届く長い髪が、まだ少し濡れた状態で彼女の肩にかかっている。
前世、彼女はこの大切な長い髪を切ってしまったのに、今はまだ…
雨宮由衣は再び手に入れた喜びを胸に、木製の櫛で丁寧に髪を梳いた。
髪を乾かした雨宮由衣は、クローゼットの中の奇抜な服を見て、また悩んでしまった。
もういい、3階のウォークインクローゼットから持ってこよう。せっかく転生したんだから、我慢する必要はない。
3階は全てウォークインクローゼットになっていて、中には庄司輝弥が用意させた服やアクセサリー、バッグが所狭しと並んでいる。彼女は一度も使ったことがなかったが、7年間ずっと、そこには常に最新の流行アイテムが揃っていた。
階下では。
ダイニングテーブルで、庄司輝弥はゆっくりとコーヒーを飲んでいた。
男は睡眠不足からくる目の下の青白い隈が薄くなり、元々整った顔は、まるで精気を吸い込んだ妖のように、今日はずば抜けて美しく、全身から光を放っているかのようだ。
「あちっ、あちち…」林翔太(はやし しょうた)はぼんやりとしていて、熱いコーヒーを飲んでしまった。
庄司輝弥は向かいの友人を冷ややかに一瞥し、まるでバカを見るような表情だった。
それでも林翔太は、こいつは皮肉を言っている時でさえ、めちゃくちゃカッコいいと思っていた。
林翔太はコーヒーカップを乱暴にテーブルに置いて言った。「おい!輝弥!正直に言えよ!昨夜は何してたんだ?女でも漁ってたのか?」