第19章 実力で最下位を取った

雨宮由衣は自分の噂話を興味深く聞きながら、ほとんど忘れかけていた情報を得つつ、ゆっくりとFクラスの教室の入り口まで歩いていった。

彼女が入り口に立った瞬間、教室内は一瞬不気味な静けさに包まれ、その直後、机を叩く音と口笛の音が狂ったように響き渡った。

みんな騒ぎを楽しみたがっているのだ。

はっきり言えば、彼女は生徒たちが退屈しのぎに見世物にする道化師でしかなかった。

そして雨宮由衣は毎回彼らの期待を裏切らなかった。

「ハハハ、やべぇ！雨宮由衣、その髪マジやばくねぇか！」

「そうそう、この前のアフロよりもヤバイって！」

男子たちは大笑いし、女子たちは嫌悪感と軽蔑の表情を浮かべていた。

「騒ぐな！静かにしなさい！チャイムが鳴ったの聞こえなかったの？」入り口から担任の怒鳴り声が響いた。

「雨宮由衣、またお前か！お前...お前、その姿は一体何なんだ？早く自分の席に戻りなさい！」担任は雨宮由衣の緑色の髪を見て、肺が破裂しそうなほど怒っていた。まだ叱りつけようとしていたようだが、驚くべきことに直接席に戻るよう命じただけだった。

どうせもうすぐ退学になる生徒だ、無駄に言葉を費やす必要はない。

雨宮由衣は教室の中を見渡し、思い出す必要もなく、すぐに自分の席がどこにあるかわかった。

各クラスの席は成績順に並んでおり、彼女はいつも最下位だったため、当然一番後ろの列に座っていた。

最後列の窓際の席には、一人の男子生徒が伏せっていた。

男子生徒は乱れた無造作な髪で、イヤホンを耳に差し、机に伏せて眠っていた。窓の外の木々の隙間から差し込む陽光が、眠る少年の整った横顔に踊り、まるでファッション誌から抜け出してきたかのような雰囲気を醸し出していた。

庄司夏、清風学園の学園一のイケメン。

喫煙、喧嘩、サボリと何でもこなし、成績も散々だったが、整った容姿と裕福な家庭環境のおかげで、学園一のイケメンの座を確保していた。

隣から聞こえる足音に、眠っていた少年は不機嫌そうに目を開けた。「消えろ！」

教室内の他の生徒たち、特に女子たちは見ていて愉快そうな表情を浮かべた。

彼女たちは王子様の素敵な寝顔を眺めていたのに、このブスに邪魔されたのだ。

このブス、なんで庄司夏と相席なんかできるの！

でも、王子様が怒って叱る姿もカッコよすぎる！