相良執事は老夫人の腹心であり、当然ながら若様の奇病のことも知っていたため、同じように驚きの表情を浮かべた。「奥様、これは……」
老夫人は不安げな表情を浮かべながら、足取りを緩め、慎重に二人の前まで歩み寄った。
老夫人が来たのを見て、雨宮由衣は反射的に立ち上がろうとしたが、庄司輝弥が寄りかかっていたため立てなかった。「おばあ様……」
老夫人は複雑な表情で、近づいても反応を示さない孫を見つめた。「由衣……九は……」
雨宮由衣は彼の起床時の機嫌の悪さを恐れ、先ほどは起こす勇気が出なかったが、今は老夫人が来たのを見て、そっと隣の人を押した。「庄司輝弥さん、起きて……」
彼女に寄りかかって熟睡していた男性が突然押されると、整った眉が少し寄せられ、それまでの穏やかな寝顔に一筋の暗い影が差した。明らかに不満そうだった。