老夫人は孫の方向を見つめながら、ゆっくりと言った。「よく分からないわ。夕食後、九に由衣を庭園に案内させたの。しばらく戻って来なかったから、二人を探しに行ったら、九が由衣に寄りかかって眠っていたわ。
九はめったに眠れないから、由衣に頼んで、起こさないようにしてもらったの」
黒川尊は眉をひそめた。「どうしてでしょう?私は九様のそばにこれほど長くいましたが、自然に眠れたことは一度もありません。これが初めてです!」
そのせいで、彼も頭を悩ませていたのだ。
その時、傍にいた井上和馬が何かを思い出したように目を輝かせ、急いで口を開いた。「いいえ、違います...実はこれが初めてではないんです!」
「初めてじゃない?どういう意味だ?」黒川尊と老夫人は井上和馬の方を見た。
井上和馬は少し考えてから答えた。「確か、ある夜も九様は似たような状況で眠られたんです!」