第61章 その星明かり

この時、雨宮由衣は老夫人と黒川尊たちの推測を知らず、ただ現在の庄司輝弥の病状が七年後ほど深刻ではないと思っていた。

眠っている男性は非常に無害に見え、普段の背筋が凍るような雰囲気は全くなく、むしろ彼女をリラックスさせた。

庄司輝弥が眠っている間、雨宮由衣はスマートフォンで芸能ニュースと最新のゴシップを閲覧していた。

芸能界は日々変化し、数ヶ月で顔ぶれが変わることもあり、七年後となるとなおさらだ。

梅野淳のようにデビュー当初から爆発的な人気を誇る天才を除けば、七年後に一世を風靡したスターの大半は、今はまだ無名で、業界にすら入っていない。

現在、雨宮グループは複数の映画館チェーン、映像制作会社、さらにはメディアを傘下に収め、その中でも帝星エンターテインメントは業界最古参の芸能事務所として、大物タレントを多数抱えており、現在も七年後も、人気絶頂のトップスターの大半が帝星エンターテインメントの所属タレントだった。

言わば、雨宮グループは芸能界の半分を支配し、無数のタレントの命運を握り、彼らの浮沈を決定づけていた。

売れるか売れないかは、事務所が押す気があるかどうかだけの問題だった。

記憶の中で、これから数年の間に、沢田家も急速に発展し、小さな会社から芸能界で重要な地位を占めるまでになり、徐々に雨宮家と肩を並べるようになっていた。

今度の人生では、絶対にそんな連中を好き勝手にはさせない!

しかし、彼女の行動のすべては、庄司輝弥が完全に彼女を信頼し、ある程度の自由を与えてくれることが前提だった。

この期間を利用して、大学受験の勉強だけでなく、大学の授業内容や芸能界に関するあらゆる専門知識を必死に予習し、帝都メディア大学に合格し、留年した2年間を取り戻して、できるだけ早く大学の課程を修了しなければならない。

失ったものすべてを取り戻し、雨宮グループを打ち負かし、芸能界の頂点に返り咲くのだ!

庄司輝弥の性格からして、彼女を信頼したとしても、芸能人になることは絶対に許さないだろうことは分かっていた。でも、マネージャーのような裏方の仕事ならできる。

それに彼女にとって、マネージャーの方が人脈を築くのに適していた。

今、学校には非常に良い素材がいる。うまくいけば早めにスカウトできるかもしれない……