第62章 どうしてまだ朕の側に来ないのか

これは……この甘えるような口調は一体どういうことなの!?

首筋に感じる温かい吐息と、耳元で聞こえる慵懒で眠そうな声に、雨宮由衣は完全に固まってしまった。

庄司輝弥が甘えるなんて?

驚きで頭が真っ白になったのか、それともこんな庄司輝弥に断れる言葉が見つからなかったのか、雨宮由衣は思わず頷いてしまった。

我に返った時には、庄司輝弥は既に立ち上がって戻り始めていた。

戻ると、すぐにメイドが気遣わしげに近寄ってきた。「九番目の若様、雨宮お嬢様!お祖母様が特別に雨宮お嬢様のお部屋をご用意させていただきました。雨宮お嬢様、今お休みになりますか?ご案内させていただきます!」

仕方がない、先ほど色に惑わされて油断して庄司輝弥に付き合うと約束してしまったので、雨宮由衣は庄司輝弥の方を向いて言った。「私、荷物を置いてシャワーを浴びてから、すぐに会いに行くわ」