第63章 すごいね

雨宮由衣の部屋がドリームアイドルドラマのような雰囲気だとすれば、庄司輝弥の部屋は恐怖映画のセットのようなものだった。錦園にある彼のダークテイストの寝室と同じような雰囲気が漂っていた。

雨宮由衣が部屋に入ると、すでに誰かが待っていた。

庄司輝弥の専属医師、黒川尊だった。

二人が入ってくるのを見て、黒川尊は立ち上がった。「九様、雨宮さん」

庄司輝弥は、黒川尊がこの時間に彼の部屋にいることにすっかり慣れているようで、無表情のままベッドの方へ歩いていった。

雨宮由衣は庄司輝弥の後ろについて行きながら、少し躊躇いがちに「あの、私がここにいても邪魔になりませんか?」

彼女は庄司輝弥が催眠術を受けるときは誰にも邪魔されたくないことを知っていた。

黒川尊は雨宮由衣を一瞥した。理論的には確かに邪魔になるはずだ。催眠術は完全に密閉された空間で、部外者がいない状態で行わなければならない。