おばあさまは彼女と庄司輝弥のことについてたくさん話し込み、食事中の雰囲気はずっと和やかだった。
このように祖母に売られてしまったが、庄司輝弥は特に気にしている様子はなかった。
彼は寡黙だったが、おばあさまの前では、普段の冷たく距離を置いた態度と比べて、より親しみやすく人間味のある様子を見せていた。
おばあさまは沢山の料理を用意させ、どれも特別に美味しかった。雨宮由衣は初めての訪問だから、少し控えめにしようと思っていたのだが、庄司輝弥は言葉は少なかったものの、手を休めることなく彼女に料理を取り分け続け、気がついた時には、うっかり三杯もご飯を食べてしまっていた。
「もう、お料理取らないで、もう食べられないわ!」雨宮由衣は小山のように盛られた茶碗を見て、うらめしそうな顔をした。
初対面でおばあさまに大食いだと思われたくなかったのだ。
庄司輝弥は少女の恨めしそうな顔を一瞥すると、長い手を伸ばして彼女の茶碗を自分の前に持ってきて、何の躊躇もなく代わりに食べてしまった。
この人って...潔癖症じゃなかったっけ...
雨宮由衣は少し驚いたが、負担を軽くしてもらえたことに安堵のため息をついた。
おばあさまは二人のやり取りを見ながら、心の中で喜びを感じていた。
それに、この子は孫が言った通り、全く好き嫌いがなく、食欲もあって、いつも数口しか食べない令嬢たちよりずっと好ましく見えた。
夕食後、おばあさまは由衣が自分と一緒にいて退屈してしまうのではないかと心配し、思いやりを込めて言った。「九よ、由衣は初めて家に来たのだから、あちこち案内してあげなさい。」
「はい。」庄司輝弥は頷いた。
「じゃあ、おばあさま、行ってきます。」雨宮由衣はおばあさまに一声かけると、おとなしく庄司輝弥について中庭へと向かった。
夜は水のように冷たく、頭上には満天の星、空気には草木の香りが漂っていた。
錦園のような宮廷庭園のような絢爛さはないものの、この古い屋敷には独特の落ち着いた風格があり、食後の散歩で消化を促すのにちょうど良かった。
雨宮由衣はこの時になって初めて気づいた。いつの間にか、古い屋敷に来た時の不安が完全に消えていたことに。
夜景に心を奪われていると、隣にいる庄司輝弥がまた何かおかしくなったようだった。