そう思うと、雨宮由衣は気を取り直して教科書を読み始めた。
隣で机に伏せて寝ていた男子生徒は、ページをめくる音が聞こえてきて眉をひそめ、横を見た。
すると、雨宮由衣が本を読んでいるのが目に入った。
この女、ショックで性格が変わったのか?
そう思った矢先、由衣の動作を見て男子生徒の顔が曇った。
なぜなら、由衣が本をめくるスピードが、今日の豹変ぶりよりも速かったからだ。
これのどこが読書だ?
でも読書じゃないなら、何をしているんだ?暇つぶしにページをめくって遊んでるのか?
「うるせぇな」イケメンの顔に不機嫌な表情が浮かんだ。
雨宮由衣の顔が曇った。このガキ、調子に乗ってきやがって!
年上の立場を利用して黙らせてやろうか!
年齢的には、彼は由衣のことを叔母さんと呼ばなければならないのだ!