第22章 落ちこぼれに発言権なし

そう思うと、雨宮由衣は気を取り直して教科書を読み始めた。

隣で机に伏せて寝ていた男子生徒は、ページをめくる音が聞こえてきて眉をひそめ、横を見た。

すると、雨宮由衣が本を読んでいるのが目に入った。

この女、ショックで性格が変わったのか?

そう思った矢先、由衣の動作を見て男子生徒の顔が曇った。

なぜなら、由衣が本をめくるスピードが、今日の豹変ぶりよりも速かったからだ。

これのどこが読書だ?

でも読書じゃないなら、何をしているんだ?暇つぶしにページをめくって遊んでるのか?

「うるせぇな」イケメンの顔に不機嫌な表情が浮かんだ。

雨宮由衣の顔が曇った。このガキ、調子に乗ってきやがって!

年上の立場を利用して黙らせてやろうか!

年齢的には、彼は由衣のことを叔母さんと呼ばなければならないのだ!

前世で後から知ったことだが、清風学園のイケメン庄司夏は庄司輝弥の甥だったのだ。

雨宮由衣は眉を上げて、「ふん、うるさい?前の席まで行ける実力があるならね!弱肉強食、強者が尊い。落ちこぼれに文句を言う資格なんてないわ!」

「……」男子生徒は言葉を失い、信じられない表情を浮かべた。

今、学年ビリに馬鹿にされたのか?

ふん、いいだろう。

今度のテストで、弱肉強食とはどういうことか思い知らせてやる!

下校のチャイムが鳴り、一日が終わった。

サボりは一時の快感、復習は地獄。

一日中勉強して、雨宮由衣の目には文字が二重に見えるほどだった。

これから一週間、学校はテスト勉強に専念させるため休みになる。

清風学園は全寮制で、特別な事情がない限り全員寮生活が義務付けられている。

この復習期間中は、自分の部屋で勉強するか教室で勉強するか選べる。

放課後、生徒たちは次々と寮に戻り、雨宮由衣もスーツケースを引きながら寮に向かった。

学校の寮は四人部屋だが、ルームメイトたちの集団いじめにより、彼女は一人部屋を与えられていた。

それに、庄司輝弥との秘密の関係もあり、一人部屋の方が都合が良かった。

細く白い指で寮の扉を開けると、懐かしい空気が漂ってきた。

この一人部屋は広くはないが、一人暮らしには十分だった。巨大な錦園と比べると、むしろ安心感があった。