第23章 庄司輝弥への恋文

沢田夢子は心の中で冷笑を漏らした。

雨宮由衣が今回は少しは気骨を見せるかと思ったのに！

やっぱり相変わらずの下賤な女だったわ！

何を取り繕っているのよ？

沢田夢子は目を光らせ、雨宮由衣の背後に回ると、こっそりスマートフォンを取り出し、雨宮由衣の方向に向かって一枚写真を撮り、そっと退出した。

寮に戻ると、沢田夢子は当然復習などせず、すぐに庄司輝弥にメッセージを送った。

庄司輝弥とはどんな人物か。日本第一の名門庄司家の後継者であり、彼女たちのような一般人にとっては手の届かない存在だった。

そんな中、彼女は庄司輝弥の個人携帯番号を持っているだけでなく、帝都の小皇宮と呼ばれる錦園にも自由に出入りできるのだ。

これらのことを考えると、いつか錦園の女主人になることを想像し、みんなが自分と庄司輝弥の関係を知ることを想像すると、興奮で体が震えた。

雨宮由衣のようなバカでも庄司輝弥を手に入れられたのだから、自分だってできないはずがない。

だって、あの男は自分に対してとても特別な扱いをしてくれる。錦園に自由に出入りできるだけでなく、個人の携帯番号まで教えてくれた。さらに、家族が困ったときにも助けてくれるのだ。

沢田夢子の頬は紅潮し、顔には甘い自信に満ちた表情が浮かんでいた。もう少し頑張れば、あの男はきっと私のものになる！

「庄司様、由衣とケンカをしたと聞きましたが、大丈夫ですか？由衣のことは心配しないでください。私が今見てきましたが、由衣は元気でしたよ。」

このメッセージには一枚の写真が添付されていた。先ほど盗撮した写真で、ラブレターがはっきりと写っていた。

庄司輝弥の観察力なら、黒田悦男宛てのこのラブレターに必ず気付くはずだ！

雨宮由衣がまた黒田悦男を追いかけ回していることを知ることになる！

今こそ、庄司輝弥に雨宮由衣を完全に嫌悪させ、二度と心変わりする可能性をなくさなければならない。

その時、雨宮由衣の寮の部屋で。

沢田夢子が去った後、雨宮由衣は本を読み続けていたが、何か見落としているような気がしてならなかった。

無意識のうちに、自分の机の隅を見た。

案の定、隅には一通のラブレターの下書きがあった。以前黒田悦男に宛てて書いたものだが、まだ完成していなかったため、渡せずにいたのだ。

ちっ、このものを忘れるところだった！