第24章 気持ち悪いほど甘ったるい

メッセージを送信した後、雨宮由衣は恋文のことは気にせず、一分一秒を惜しんで勉強に没頭した。

その時、錦園では既に天地が覆されたような大騒ぎになっていた……

ソファに座る男の黒い瞳は厳冬の夜のように冷たく、その巨大な威圧感が広大な空間に狂ったように充満していた。

屋敷中の使用人たちは皆、震えながら隅に身を寄せ、息を潜めていた。

井上和馬は背中に冷や汗を滲ませ、背筋を硬くしたまま男の傍らに立ち、震える目で床に落ちた画面の割れた携帯電話をちらりと見て、絶望の表情を浮かべていた。

携帯電話の品質が良すぎて、画面は握りつぶされても壊れず、拡大された恋文がはっきりと表示されていた。

くそっ、こうなることは分かっていた！

あの女は黒田悦男に心酔していて、振られても婚約を破棄されても気にせず、まだ追いかけ回している。どうして急に性格が変わって、ご主人様と真面目に暮らそうなんて思うはずがない？

ほら見ろ、ご主人様を騙したかと思えば、すぐに黒田悦男を追いかけに行った。

しかもこんな甘ったるい恋文まで書いて！

本当に恥知らずだ！

恋文は詩で、訳すと大体「あなたの上着の襟となって、あなたの香りを感じたい、あなたの外套の帯となって、あなたの腰を包みたい、あなたの髪の油となって、あなたの黒髪を潤したい」といった内容だった……

まさに艶めかしい言葉の数々！

ご主人様がこれほど怒るのも無理はない！

たかが女一人、言うことを聞かないなら、ただの物として屋敷で飼っておけばいいものを、なぜこれほど甘やかす必要があるのか。

ご主人様も判断を誤った、あの女の言葉に簡単に騙されるなんて。

今、男の表情は水のように暗く沈んでいた。体内に潜む野獣は完全に檻から解き放たれ、爪をなめながら、血に飢えた気配を放っていた。

由衣……

言っただろう……

これが最後のチャンスだと……

最後にお前を信じる機会だと……

「連れ戻せ」ソファから、男の掠れた低い声が響いた。

井上和馬は男の冷たい表情に震え上がり、急いで答えた。「はい！すぐに人を出します！」

瞬く間に、黒い車の列が錦園の正門から静かに夜の闇へと消えていった。

居間では、全ての使用人が恐れて声も出せず、心の中は怨みでいっぱいだった。