やっとのことでこの娘を追い出せると思ったのに、こんな風に台無しにしてしまうなんて?
二宮晴香が納得するはずがなかったが、今や全ての教師が雨宮由衣のテストの成績が本物だと証明してしまった。彼女も学校が成績を重視していることを理解していた。
くそっ!今回は、この娘を追い出すのは無理そうだ!
「それなら、二宮先生に謝罪を求めることも無理な要求ではないですよね?」雨宮由衣は簡単には引き下がるつもりはなかった。
「私は絶対に謝罪なんてしない!」二宮晴香は雨宮由衣を睨みつけ、怒りで胸が激しく上下していた。
柳谷文博は軽く咳払いをし、不機嫌な表情で言った。「雨宮さん、二宮先生は公平性と試験の規律のために正当な疑問を提起しただけです。先生を困らせるようなことをどうしてするんですか?」
「二宮先生は確認もせずに、みんなの前で私を冤罪に陥れ、私の人格を傷つけました。困っているのは私のはずです」
「後で二宮先生にクラスで皆に説明してもらい、あなたの潔白を証明すれば十分でしょう。この件はこれで決着です」柳谷文博は雨宮由衣の謝罪要求をあっさりと却下した。
雨宮由衣は冷笑いを浮かべながら向かいの男を見つめ、そして二宮晴香を見た後、突然静かに口を開いた。「数ヶ月前、ある月の暗い夜に、学校の小さな林を通りかかった時、二宮先生を見かけたような気がします。そうそう、二宮先生の他にも柳谷...」
ここまで聞いて、二宮晴香は急に顔色を変え、慌てて彼女の言葉を遮った。「わかったわ、謝罪するわ!他に何か言いたいことがあるなら後で私に言いなさい。他の先生方の時間を無駄にしないで!」
二宮晴香は、いつも大人しくて臆病だった雨宮由衣がこんなに大胆になって、この件で自分を脅すなんて思いもよらなかった!
雨宮由衣は当然、二宮晴香が何を考えているか分かっていた。もう以前のように愚かにこの女性に抑圧されるつもりはなかった。
この件を握っていれば、二宮晴香も少しは自重するだろう。
柳谷文博も汗を拭いながら、急に態度を変え、優しく言った。「雨宮さん、二宮先生が謝罪を承諾したんだから、これで満足でしょう。ただ、退学処分については規定通り機会を与えることはできますが、観察期間は必要です。もしその間に問題を起こせば、私や二宮先生でも助けられないかもしれません。そこは理解してください」