第91章 彼女を放せ

レストランはもう閉店時間に近づいており、徐々に雨宮由衣たちのテーブル席だけが残っていた。

最近、雨宮由衣の睡眠リズムは規則正しく、普段ならこの時間にはもう寝ているはずだった。そのため、今は眠気に襲われていた。

さらに待つこと数分、相手はまだ来ず、雨宮由衣のまぶたはますます重くなり、顎を支えていた手が机に伏せる形になり、そのまま気づかないうちに眠りに落ちてしまった。

加瀬東は時計を見ていたが、顔を上げると雨宮由衣が気持ちよさそうに眠っているのに気づいた。

彼は少女の寝顔を見つめながら、あの夜の一瞬の出来事を思い出し、耳が熱くなってきた。

彼女があんなにはっきりと、もし嘘をついていたら彼の彼女になると約束したことは、実は彼女も自分のことを好きだから承諾したということなのだろうか。