第120章 告げ口

江川麗子の両親はとても早く到着した。

ノックの音を聞いて、雨宮由衣は気持ちを整え、すぐにドアを開けた。

「麗子は！私たちの麗子はどこ！」

「私の娘はどこだ？」

江川さんと江川夫人は汗を流しながら焦っていた。

「おじさん、おばさん、やっと来てくださいました。麗子はベッドで横になっています。早く見てあげてください！」雨宮由衣は急いで言った。

夫婦はすぐにベッドに駆け寄り、横たわっている娘を見た瞬間、心が張り裂けそうになった。

江川麗子の顔色は今とても憔悴しており、頬は血の気が全くないほど青白く、両目も真っ赤に腫れていた。江川さんと江川夫人は全く疑いを持たなかった。

「麗子、どうしてこんなに馬鹿なことを…一体何があったの？」

「麗子、早くパパに話して、学校で誰かにいじめられたのか？」

江川麗子は急いで駆けつけた両親を呆然と見つめ、家族に会った途端、抑えていた悔しさが堪えきれなくなり、母親の胸に飛び込んで声を上げて泣き出した。「パパ...ママ...私、辛いの...とても辛いの...」

江川夫人は娘の泣き声に胸が刺されるような痛みを感じた。「いい子、いい子！私たちを心配死にさせる気？一体どうしたの？」

雨宮由衣は傍らに立ち、涙をポロポロと流しながら言った。「おじさん、おばさん、麗子の仕返しを必ずしてあげてください。麗子は学校でいじめられて死にそうなんです！」

江川さんは即座に怒りの表情を見せた。「誰だ、私の娘をいじめるなんて！」

雨宮由衣は答えた。「蘇我隼樹と沢田夢子です！」

江川さんの表情が変わった。「隼樹と、それに夢子？そんなはずはない。隼樹が麗子をいじめるはずがないし、夢子は麗子の親友じゃないのか？」

雨宮由衣は急いで説明した。「全然そうじゃないんです。蘇我隼樹は全然麗子のことが好きじゃなくて、しかも麗子の親友の沢田夢子と密かに付き合っているんです。沢田夢子は麗子の親友なのに、このことを麗子に教えないどころか、麗子と蘇我隼樹に婚約があることを知っていながら、密かに蘇我隼樹と怪しい関係を...」

江川さんは厳しい表情で言った。「そんなことはありえない！隼樹という子の人柄は私がよく知っている。彼は私たちの麗子に対して誠実だ。」

江川夫人も同意して言った。「そうよ、普段から私たちもよく見ているわ。」