加瀬東は雨宮由衣を寮まで護衛すると言い張り、その道中の光景は想像に難くない。
周りの人々は、背の高いハンサムな男子学生がバスケットのユニフォーム姿で、女子学生の傍らをゆっくりと付き添い、まるで花の守護者のような姿に、乙女心をくすぐられた。
しかし、彼が護衛している女子学生の姿は一変していた。恐ろしい爆発頭に濃いスモーキーメイク、真っ赤な大きな口紅、見るに堪えないほどだった。
「なんてこと!あの不細工な雨宮由衣にも追っかけがいるなんて!」
「しかも、追っかけているのは清風のボスよ!」
「デマかと思ってたのに!これは本当に驚いた!」
見物人の中で、沢田夢子は二人を遠くから眺め、清風の有名人が雨宮由衣に親切にする様子を見て、表情が一瞬こわばった。
今日は雨宮由衣が泣き崩れる姿を見られると思っていたのに、彼女は何事もなかったかのように平然としているどころか、得意げな様子で注目を集めていた。
女子寮の入り口で。
加瀬東が去った後、沢田夢子はすぐに雨宮由衣の方へ駆け寄り、加瀬東が去った方向を見ながら、心配そうな表情で探るように尋ねた。「由衣、加瀬東とどういう関係なの?」
この時、沢田夢子の後ろには二人の女子学生が付いていた。左側の女子はシャネルの白いワンピースを着て、高慢な態度でそこに立ち、上から目線で雨宮由衣を横目で見ながら言った。「庄司夏に手を出しながら、加瀬東も誘惑するなんて、雨宮由衣、あなたホントに厚かましくなったわね!」
江川麗子の言葉を聞いて、沢田夢子の心は一瞬喜びに満ちたが、すぐにその表情を隠し、親しげに江川麗子の腕を取りながら諭すように言った。「麗子、由衣のことをそんな風に言わないで。由衣はそんな子じゃないわ。きっと普通の友達なんじゃない?」
江川麗子はその言葉を聞いて、整った顔に軽蔑と侮蔑の表情を浮かべた。「何が普通の友達よ。公衆の面前で告白して、お尻にくっついて花の守護者みたいにしてるのよ。これが普通の友達?」
沢田夢子の右側にいる平凡な顔立ちで制服を着た女子が意地悪そうに言った。「あんな不細工がどうやって男を引っ掛けるのか、全然分からないわ。」
沢田夢子たちの様子に、多くの女子学生が近くに集まり、指を指して噂し始めた。