第132章 俺の嫁を奪いやがった

その時、コートでは。

錦秀の隊長は風間の肩に手を置き、真剣な面持ちで心理カウンセリングをしていた。「風間、今日は一体どうしたんだ?まさか失恋でもしたのか?」

「失恋なんかしてねえよ!お前こそ家族全員失恋しろ!」風間は即座に爆発した。

隊長は呆れた顔で、「失恋してないのに、今日はずっと上の空だし、失恋してないのに捨てられた男みたいな顔してどうするんだよ?」

向こう側で蘇我隼樹が美女たちに囲まれているのを見て、隊長は羨ましそうな目で、「くそ!人の差ってやつだな!蘇我のやつ、なんてツイてるんだ!沢田夢子に、今度は江川麗子か。どっちも美人じゃないか。風間、見ろよあいつを。お前のその顔がもったいないぞ!」

風間はイケメンなのに、恋愛経験はほぼゼロ。恋愛はおろか、好きな女の子すらいない。

隊長は一時期、もしかして男が好きなのかとさえ思った。

隊長が文句を言っている最中、風間の表情がどこかおかしいことに気づいた。特に江川麗子が蘇我隼樹の方へ歩いていくのを見たとき、風間の蘇我を見る目つきは、まるで人を殺すかのようだった。

隊長は彼の様子がおかしいことに気づき、急いで押さえつけた。「おいおい、何をするつもりだ?なんでそんな怖い顔してるんだ?さっきから蘇我を見る目つきがおかしいと思ってたぞ!あいつに金でも借りてるのか?」

風間:あいつが俺の嫁を奪った!!!

一方、清風バスケ部の方では。

「蘇我隊長、すごすぎます!」

「先輩最高です!頑張って!後半戦も錦秀をボロボロにしてやりましょう!」

「隼樹、水飲む?」沢田夢子が手にしたミネラルウォーターを差し出した。

蘇我隼樹は女子ファンたちに囲まれ、沢田夢子が直々に水やタオルを持ってきてくれ、さらには呼び方も蘇我隊長から隼樹に変わっていた。

蘇我隼樹はこれほど得意気で爽快な気分になったことはなかった。珍しく大胆に、人前で沢田夢子の手を取り、「夢子、僕がトロフィーを君に捧げるのを待っていて!今日勝ったら、その時君は……」僕の告白を受け入れてくれないか。

蘇我隼樹が言い終わらないうちに、周りから突然誰かが向こう側を指さして驚きの声を上げた。「江川麗子だ!江川麗子も来たぞ!わお、二人の女が一人の男を奪い合う、面白くなりそうだ!」

蘇我隼樹は遠くに立つ優美な少女の姿を見て、目が輝いた。