第131章 興奮しすぎた

笛の音が鳴り響き、試合が正式に始まった。

雨宮由衣はバッグから予め用意していたポップコーン、コーラ、フライドチキンを取り出し、食べながら夢中で観戦し始めた。

そういえば、彼女が後にアーティストではなくマネージャーを目指すことにしたのも、この食への欲求が大きな理由だった。毎日食事制限をされて、これもダメ、あれもダメと言われていたら、人生の意味なんてないじゃないか?

錦園の菜種は芽を出したかな、どんな風に育っているのかな、それに私の雛鳥や小魚、ブドウの苗も……

雨宮由衣がちょっと考え事をしている間に、スコアはすでに11対0になっていた。

清風11点、錦秀0点。

「どういうこと?」雨宮由衣は呆然とした。

江川麗子は首を振って、「分からないわ。川治君、今日の調子があまり良くないみたい」

雨宮由衣は急いで風間川治の方を見た。確かに彼は今日ミスを連発していて、足取りも不安定で、まるで酔っ払いのようだった。

さっきまでは気合いが入っていたように見えたのに。好きな女の子の前なんだから、ライバルを圧倒するはずじゃないの?

この野郎……まさか興奮しすぎたんじゃないでしょうね?

頭が痛い!

蘇我隼樹をボコボコにしてくれると期待してたのに!

「はぁ、酒は人を酔わせないが人は自ら酔う……はいはい、私が悪かったわ。麗子、彼のことをそんなに見つめないで……」

雨宮由衣の言葉の揶揄を感じ取り、江川麗子は少し恥ずかしそうに視線を逸らした。

しかし、江川麗子が目を逸らした後、ある人の状態はさらに乱れ、雨宮由衣は遠くからでも錦秀のコーチの崩壊寸前の叫び声が聞こえた——

「くそっ!てめぇの馬鹿野郎風間!薬でも飲んだのか!何てクソみたいなプレイだ!」

「このバカ野郎!降りて来い!人生について話し合おうじゃないか!」

……

後半の2分間の休憩時間は、コーチが風間川治を叱りつけることに費やされた。

彼は意気消沈して俯いたまま、観客席の方を一度も見上げる勇気がなかった。

結局、後半も錦秀の劣勢を挽回することはできず、前半戦は23対6で終了した。

雨宮由衣は見るに耐えず目を閉じた。

続いて15分間のハーフタイム休憩。

清風の女子たちは歓声を上げながらコートに駆け寄り、選手たちに水やタオルを届け、労をねぎらっていた。一方、錦秀側は少し惨めな様子だった。