第136章 お兄さんからの贈り物

しかし、これはほんの始まりに過ぎず、後半も錦秀の一方的な圧倒的な展開が続き、特に風間川治の独壇場となった。

女子たちの「風間くん!」という悲鳴は天井を突き破りそうなほどだった。

試合終了まで残り1分となった。

両チームのスコアは恐ろしい0対24。

清風は1点も取れず、一方の錦秀は清風を7点引き離していた。

1分で7点差を逆転するのは不可能で、清風の敗北は決定的だった。

コート上では、みんなが錦秀の勝利を祝っていた。

案の定、最後の瞬間にボールは風間川治の手に渡った。

清風のメンバーはすっかり打ちのめされ、もう抵抗する気力も失っていた。

「止めろ!」蘇我隼樹が怒鳴った。

負けは負けでも、0点で負けるわけにはいかない。蘇我隼樹のプライドが許さなかった。

仕方なく、全員が気を取り直して風間川治を止めようとした。

観客全員の視線と清風チーム全員の包囲の中、風間川治は余裕の表情でボールを手の中で回し、突然誰も予想しなかった行動に出た。

彼は不意に方向を変え、自陣のゴールに向かって走り出し、ボールを投げ入れた。

鋭いホイッスルが鳴り、試合終了。清風チーム:2点獲得。

風間川治は、全員の目が点になる中、ゆっくりと蘇我隼樹の前に歩み寄り、「この2点は兄貴からの施しだ。礼は要らないぜ」と言った。

オウンゴール、風間川治が意図的に自陣のゴールに決めたオウンゴールで、蘇我隼樹に2点を与えたのだ。

「お前...」公衆の面前でこのような侮辱を受け、蘇我隼樹は顔を歪ませ、突進しようとしたが、他のメンバーに押さえられた。

一瞬の静寂の後、会場中から悲鳴が上がった。「きゃーー!風間先輩かっこよすぎ!」

結局、後半のスコアは2対24となった。

清風と錦秀の総スコアは25対30。前半でこれだけの差をつけられた状況で、後半に錦秀が逆転し、試合全体の勝利を収めた。

観客席で、雨宮由衣はようやく安堵の息をついた。「これでこそ、お姉さんが手伝った甲斐があったわね!」

明らかに風間川治の最後のシュートは江川麗子のために仕返しをしたものだった。

雨宮由衣は江川麗子に向かって「どう?スッキリした?」と尋ねた。

江川麗子は頷いた。確かに、とてもスッキリした。