第156章 驚くべき厚かましさ

両親が疑いを持っていないのを見て、蘇我隼樹は密かにほっとした。

普段から両家の親の前では完璧な演技をしていたおかげで、彼の両親はもちろん、江川志雄でさえも彼を疑うことはなかった。

しかし、なぜこうなってしまったのか……

どうしてこんな事態になってしまったのだろう?

あっという間に、全てを失ってしまった。契約も、提携も、生産ラインも台無しになり、会社は多額の負債を抱えて倒産の危機に瀕している!

彼は江川麗子のことをよく知っていた。あの女は既に自分の掌の上で踊っているという自信があった。彼が何をしても、嫌われることを恐れて反抗することはないし、まして実家に告げ口なんてするはずがない。

たとえ彼が人前で夢子をかばい、告白したところで何だというのか。それはただあの女を嫉妬で狂わせ、より一層彼に執着させるだけだ!