今日のバスケットボール試合は高校三年生の最後の試合で、いわば送別試合なので、特に注目を集めていた。
雨宮由衣は入り口に立って遠くから一目見ただけで、コートでは両チームの選手がウォーミングアップをしていたが、風間川治の姿は見えなかった。おそらくまだ来ていないのだろう。
蘇我隼樹については、その長身の姿が観客席の二列目に目立って立っていた。
そこには沢田夢子、北条琴美、そしてAクラスの他の女子生徒たちが座っていた。
その女子たちは蘇我隼樹を見つめる目が輝き、崇拝の念に満ちていた。
しかし蘇我隼樹の目には沢田夢子しか映っていなかった。
蘇我隼樹は目の前の少女を真剣なまなざしで見つめ、少し興奮した様子で口を開いた。「応援に来てくれてありがとう!」
「あはは、蘇我隊長は実は夢子ちゃんが試合を見に来てくれたことを感謝したいんでしょ!私たちはついでみたいなものよ!」