第184章 美しすぎるから

学校の小講堂。

演劇部の衣装と小道具が全て揃い、みんなが興奮して集まって確認していた。

「わぁ!衣装が全部素敵!豪華すぎる!」

「藤原雪のおかげよ。この衣装と小道具は全部、プロの劇団から借りてきてくれたの!うちのクラスの出し物が一番素晴らしくなるわ!」

「夢見すぎよ!どんなに豪華な衣装や小道具でも、雨宮由衣のあの見るに耐えない顔はカバーできないでしょ?」

「本当にあのブスには呆れる。あんな顔してて、よく白雪姫の役を独占できるわね。藤原雪が悪役の皇后をやらざるを得なくなったじゃない!」

「それがどうした?比べてこそ違いが分かるの。私たちの雪は史上最も美しい皇后になるわ!」

その時、傍らから疑問の声が上がった。「ちょっと待って、舞台劇は大げさな演出があるとはいえ、雨宮由衣の顔は度が過ぎてない?このままステージに立たせて大丈夫?」

藤原雪の取り巻きが雨宮由衣を横目で見て、不満げに口を開いた。「そうなのよ。衣装も小道具も彼女を救えないから、結局台本まで変えることになったわ!」

「え?台本?どう変えたの?」

藤原雪は諦めたような表情で答えた。「台本を、白雪姫の母親が白雪姫を守るために、幼い頃から偽装メイクをさせていた、という設定に変えたの。そうすれば雨宮由衣は最初から最後まで素顔を見せなくて済むわ。」

「ははははは、それもありか?」

取り巻きは冷ややかに鼻を鳴らした。「他に方法があると思う?あんなに多くの重要な来賓が来るのに、みんなを驚かせたら誰が責任取るの?」

……

みんなが口々に雨宮由衣を貶め、時折嫌悪と軽蔑の眼差しを向けていた。

雨宮由衣は手にした自分の衣装を触りながら、顎を支えて、にこにこと彼らの議論を聞いていた。彼らの話が一段落したところで、ふと静かに口を挟んだ。「あのね、私、メイクを落として出演できるのよ。メイクを落とすと結構可愛いんだから!」

雨宮由衣の言葉が落ちた瞬間、空気が一気に不気味な静けさに包まれた。

しばらくして、あちこちから嘲笑の声が上がった。

「ははははは、このブス、今何て言った?メイクを落とすと可愛いですって!」

「誰がそんなこと言う勇気をくれたの!」

「冗談でしょ!素顔で舞台に立たせたら、観客全員が気絶するわよ!これは白雪姫の劇?それとも深夜のホラー?」