第200章 このスケベ婆!

雨宮由衣がF組の教室の入り口に現れた時、クラス全体が水を打ったように静かになった。

藤原雪はこのような状況を予期して、今朝未明から身支度に気を配り、服の一つ一つのシワまで丁寧に処理していたのに、雨宮由衣が現れた途端、全員の視線を奪われてしまった。

何かを待っているようで、少し焦れた表情を浮かべていた庄司夏は、入り口に立つ雨宮由衣を見て、顎を支えていた手が滑り、顔が机に打ち付けそうになり、目が動かなくなった。

昨夜は慌ただしく一目見ただけで、はっきりと確認できなかった。

そして目の前の赤いワンピース姿の少女が、突然、記憶の中のある影と重なり合った。

雨宮由衣のその顔は、特に赤いドレスを着ている時、記憶の中のあの人にそっくりだった…

雨宮由衣は庄司夏の不安げな視線に気付かず、椅子を引いて、自分の席に着いた。