第200章 このスケベ婆!

雨宮由衣がF組の教室の入り口に現れた時、クラス全体が水を打ったように静かになった。

藤原雪はこのような状況を予期して、今朝未明から身支度に気を配り、服の一つ一つのシワまで丁寧に処理していたのに、雨宮由衣が現れた途端、全員の視線を奪われてしまった。

何かを待っているようで、少し焦れた表情を浮かべていた庄司夏は、入り口に立つ雨宮由衣を見て、顎を支えていた手が滑り、顔が机に打ち付けそうになり、目が動かなくなった。

昨夜は慌ただしく一目見ただけで、はっきりと確認できなかった。

そして目の前の赤いワンピース姿の少女が、突然、記憶の中のある影と重なり合った。

雨宮由衣のその顔は、特に赤いドレスを着ている時、記憶の中のあの人にそっくりだった…

雨宮由衣は庄司夏の不安げな視線に気付かず、椅子を引いて、自分の席に着いた。

少女が庄司夏の隣の席に座り、彼女が間違いなく雨宮由衣だと確認された途端、教室は騒然となった——

「す、すげえ!こんなに可愛いなんて!」

「信じられない、雨宮由衣のブスがこんなに綺麗だなんて!昨夜よりも可愛い!」

「元ミスキャンバスの藤原より…いや、藤原より綺麗だよ!そりゃ可愛くないわけがない!」

クラス中に響き渡る感嘆の声、特に「元ミス」という言葉を聞いて、藤原雪は唇を噛みしめた。

その時、藤原雪の前の席の二人の女子が不満げに反論した。「どこが綺麗なの?普通でしょ!雪には全然及ばないわ!」

「そうよそうよ!男子たちの目は節穴なの?こんな妖狐みたいな子が好きなの?」

「はぁ!嫉妬は人を醜くするねぇ!」ある男子が意味深な口調で言った。

女子たちはそれを聞いて、甲高い声で叫んだ。「誰が醜いって?あんたこそ醜いわよ!あんたの家族みんな醜いのよ!」

「反応した人が醜いんじゃない?醜いだけじゃなくて、目も見えてないんだろうね!」

「あんた…」

みんなが騒がしく言い合っている間、雨宮由衣は必死に鞄を机の中に押し込もうとしていたが、なかなか入らなかった。

どうしたんだろう?

引き出しの中に何かある?

雨宮由衣が頭を下げて覗き込むと、中にはカラフルなものが詰まっていた……

ラブレター、チョコレート、キャンディー……

本当に、光栄すぎる。

今までは死んだネズミかイモムシだったのに。