第201章 お兄ちゃんと呼べば教えてあげる

授業のチャイムが鳴り、教室がようやく静かになった。

基本的に毎授業、先生は彼女が誰なのか尋ね、代理出席ではないかと疑っていた。

お願いだから、そんなにバカじゃないでしょう?代理なら少しは似ている人を選ぶはずよ……

あっという間に午後になり、雨宮由衣は授業中に先生に質問されるだけでなく、休み時間には周りから注目の的となっていた。

まるで珍しい物でも見るかのように、ほぼ全クラスの生徒が見に来ていた。

雨宮由衣は顎を支えながらぶつぶつと呟いた。「これ以上見るなら入場料取るわよ!」

隣にいた庄司夏はすぐに彼女にウインクして言った。「一緒にやろう!二人で組めば儲かるぞ!」

雨宮由衣:「……」

雨宮由衣は窓の外の徐々に暗くなる空を見て、「どうして急に寒くなったの?」

「台風の影響で、今日は気温が下がるって。知らなかったの?」庄司夏が言った。

「天気予報を見る習慣があったなんて!」雨宮由衣は驚いた様子で言った。

「いや、見てないよ!」

「じゃあ、どうやって知ったの?」

庄司夏は携帯を取り出して彼女に投げた。雨宮由衣が覗き込むと、天気の変化を知らせて体調を気遣う大量の愛情たっぷりのメッセージが見えた。

雨宮由衣:「……」

なるほど、彼には無数のファンが天気を教えてくれるのね!

案の定、すぐに外は雨が降り始め、気温もどんどん下がっていった。

でも、みんな彼女と同じように薄着だった。昨日まで夏のように暑かったし、朝も天気が崩れる兆しはなかったから。

今は一枚のワンピースしか着ていないし、寮に持ってきたのも夏物ばかりで、厚手の上着は一枚もない。

庄司夏は彼女をちらりと見て、「寒い?」

雨宮由衣は呆れて、「そんなの当たり前でしょ!」

庄司夏はため息をつき、「寒くても仕方ないな。俺も一枚しか着てないし、脱いで貸したら俺の貞操が危ないかもしれない。」

雨宮由衣:「ふん、結構よ、ありがとう!」

庄司夏は話しながら、突然ドアの方を見て、「でも、すぐに衣服提供軍団が来るはずだ!」

何の衣服提供軍団?

庄司夏の言葉が終わるか終わらないかのうちに、ドアの所に白くて可愛らしい後輩が立っていた。「先、先輩こんにちは。僕は高校2年A組の張本瑞貴です。こんなに寒いのに薄着ですよ、風邪引いちゃいますよ!よかったら、これ着てください。」