第179章 絶世無双

書斎内は静寂に包まれていた。

男は幅広い古風な黄花梨の椅子に座り、客間の中央にまっすぐ立つ青年を静かに見つめていた。

青年の表情には強情と不服が満ちており、まるで野性味溢れる狼の子のようだった。このような人間を従わせるには、ただ一つの方法しかない。それは、彼より強くなることだ。

さもなければ、死んでも屈服しないだろう。

どれほどの時が過ぎたのか、椅子に座る男がついに口を開いた。「私の女性を見る目に、文句があるのか?」

影流はその言葉を聞いて目を見開いた。もちろんある!!!

「いいえ、とんでもございません」青年は押し殺した声で答えた。

「とんでもない?」男の低い声には圧倒的な威圧感が込められていた。

青年は歯を食いしばり、しばらく我慢していたが、結局耐えきれずに言った。「確かに意見がございます!当主様、私には理解できません。なぜ雨宮由衣のような女性を選ばれたのですか?」

「では、どのような女性を選ぶべきだと思う?」庄司輝弥は問い返した。

影流は躊躇なく答えた。「もちろん、内外ともに優れ、文武両道に長け、あなた様と釣り合う方でなければなりません!常にあなた様の保護を必要とし、いつでもあなた様の足手まといになりかねない無能な人間であってはなりません!私は絶対に信じられません。あなた様が世俗の男たちのように、ただあの女の容姿だけを気に入られたなどとは!」

当主の側で長年過ごしてきた彼は、当主の目が如何に厳しいかを知っていた。他人は彼が女性を寄せ付けないと思っているが、それは並の女性が彼の目に適わず、彼とは異なる世界の人間だからに過ぎない。まして生涯の伴侶となればなおさらだ。

「内外ともに優れ、文武両道か……」庄司輝弥は少し間を置いて、青年を見つめながら言った。「つまり、私は君と井上和馬を娶るべきだと?」

影流:「……」

庄司輝弥の言葉が落ちた瞬間、影流の頭は真っ白になり、その場で呆然と立ち尽くした。そして耳から首筋まで真っ赤になり、興奮して弁解した。「そ、そんなはずが!私の言いたいことは……は……」

確かに彼と井上和馬は、一人が外を担当し一人が内を担当し、一人が武で一人が文で、合わせれば確かに彼の言った条件に合致するが、そんな意味であるはずがない!

当主は明らかに論点をすり替えている!