第242話 絶対に嘘だ

橋本羽は、ユニバーサルエンターテインメントで現在最も人気があり、最も稼いでいる男性芸能人で、少女たちの心を虜にする存在として知られるアジアの人気若手スターである。

その優れた容姿とちょっとした悪役のような魅力で、デビュー直後から多くの女性ファンの心を掴み、順風満帆な道を歩み、大成功を収め、一時は以前最も人気のあった帝星エンターテインメントの加瀬哲哉の人気さえも凌駕した。

二人は年齢や立ち位置が近いため、競争は非常に激しかった。

最近、橋本羽は投資額が数十億円規模の大作映画に出演することが決まり、ハリウッドの特撮チーム、豪華キャスト陣で、公開すれば間違いなく大ヒットし、彼のキャリアをさらに高みへと押し上げるはずだった。しかし、このような重要な時期にこんな事態が起きてしまった。

もし橋本羽が駄目になれば、彼が手にしていたこの映画は確実に加瀬哲哉の手に渡り、他の多くの仕事も奪われることになるだろう。

江川麗子は涙ながらに言った。「絶対にライバル事務所の仕業よ!彼らが羽の評判を落とそうとしているのよ!」

傍らにいた風間川治は小声で呟いた。「でも、女の子と両親の証言があるんだよ……」

江川麗子は即座に雨宮由衣の胸から顔を上げて彼を睨みつけた。「証言がどうしたの?証言だって嘘かもしれないでしょ?」

風間川治の声はさらに小さくなった。「でも、子供の体内から睡眠薬の成分が検出されたんだよ……」

江川麗子の目からは火が出そうだった。「それだって、私の夫が飲ませたという証拠にはならないでしょ!証拠はあるの?誰か目撃した人はいるの?」

風間川治は即座に首を縦に振り始めた。「そうそう!嘘だ!絶対に嘘だ!あなたの旦那さんはずっと慈善活動に熱心で、子供たちにもとても優しかったし、絶対にそんなことするはずがない!」

江川麗子と風間川治の言い争いを聞いて、雨宮由衣は思わず笑みを漏らした。

実際、江川麗子の先ほどの言葉は一言一句間違っていなかった。これは最初から最後まで極めて悪質な騒動だった。

女児の両親は巨額の賠償金を得るため、全てを自作自演し、子供に薬物を注射し、さらに子供に嘘をつくよう仕向け、橋本羽によるわいせつ行為と性的暴行を捏造したのだ。