第209章 このろくでなしを噛み殺してやる

ふん、前世のこの時期、沢田夢子はまだ庄司夏と庄司輝弥の関係を知らなかったのよね。

それに、沢田夢子は庄司輝弥の前での仮面をすでに剥がされ、彼女の言葉は信用を失っていた。

挑発しなければまだ良かったのに、こんなに明らかな挑発をすれば、庄司輝弥はかえって信じないだろう。

その時、傍らにいた藤原雪は驚いて沢田夢子の方を見つめていた。

沢田夢子という女は本当に庄司輝弥を知っていて、親しい間柄だと思っていたのに。

彼女が庄司夏をろくでもない人間だと言うのを聞いて、呆れてしまった。

庄司家の他の兄弟たちにはまだ子供がおらず、庄司輝弥も結婚していない。庄司夏は庄司家唯一の若坊で、その身分は極めて高貴だった。

多くの人は庄司輝弥の疑り深く残虐な性格から、相続権を持つ嫡流は誰一人として見逃さないだろうと言っていたが、少なくとも表向きには、庄司輝弥はこの甥に対してかなり良くしており、最高の尊厳を与えていた。

噂によると、ある時、目先の利かない分家の者が庄司夏を虐めれば庄司輝弥の機嫌を取れると思い込み、公衆の面前で彼を侮辱し、その父親を臆病者と罵ったという。

結果、庄司輝弥がそれを知ると、その場でその者の舌を切り取らせた。

当時の血なまぐさい光景は庄司家の全員を震撼させた……

それ以来、庄司家で庄司夏を軽視する者は誰一人としていなかった。

それなのに今、沢田夢子は庄司夏をろくでもない人間だと？しかも庄司輝弥の前でそんなことを言うなんて？

沢田夢子は庄司夏が今でも上半身裸でいるのを見て、これは紛れもない証拠だと興奮を抑えきれなかった。これだけ現場を押さえられているのに、庄司輝弥がまだ冷静でいられるはずがない！

雨宮由衣が他の男と一言二言話しただけで大虐殺が始まるというのに。

まして、こんな美しい姿で男の服を受け取り、その男が堂々と裸で彼女の隣に座っているなんて。

沢田夢子は雨宮由衣のことを心配しているかのような表情で、庄司夏に懇願するように言った。「庄司様、早く服を着てください。このままだと由衣が誤解されてしまいます……」

庄司夏は沢田夢子の表情を見て、ほぼバカを見るような目つきだった。

一体どこから湧いて出てきたバカなんだ？

雨宮由衣がこんな奴と親友だったなんて？

チッ、やっぱり頭がおかしいんだ。だから庄司輝弥みたいな変態に惚れたんだな！