三人はようやく記者たちの包囲網から逃れた。
「麗子、大丈夫か?怪我はないか?俺が守れなくてごめん!」風間川治は自責の念に駆られていた。
江川麗子はその場に呆然と立ち尽くし、一言も発せず、先ほどの出来事で大きなショックを受けていることは明らかだった。
雨宮由衣は彼女を軽く抱きしめ、そして風間川治に向かって言った。「麗子を家に送って。しばらくは外出しない方がいいわ。」
記者たちはこのスクープを見逃すはずがなく、必ず江川麗子のインタビューを記事にするだろう。
案の定、翌日には江川麗子のインタビューが記者たちによって文脈を無視して切り取られ、ネット中に広がっていた。橋本羽のファンは全員が狂信者というレッテルを貼られ、橋本羽を擁護するファンは正義の味方たちに徹底的に叩かれ、さらにはファンを特定して晒し上げる悪質な事件も多発した。
続いて、あの背の高い記者が所属する東南新聞は、さらに衝撃的な情報を掘り出した。橋本羽の別荘で働いていた元従業員が、橋本羽が幼い女の子を連れて行き、午後いっぱい姿を消すことがよくあり、部屋からは女の子の泣き叫ぶ声が聞こえていたと暴露し、人々の想像を掻き立てた。
すべての証拠が橋本羽による少女への脅迫と侵害を示唆しており、単なる芸能界のゴシップは瞬く間に全国民的な議論へと発展した……
広い姿見の前で、雨宮由衣は頭を下げ、無造作に袖口を整えながら、艶のある唇の端を少し上げた。次の瞬間、突然顔を上げると、その絶世の美貌に、異様な鋭さと奔放さが宿り、少女特有の柔らかさが、鋭い光に少しずつ飲み込まれていった……
この時、ユニバーサルエンターテインメント株式会社のビルは怒り狂う記者たちと興奮した市民に包囲され、身動きが取れない状態だった。
窓ガラスは何枚も割られ、入り口には腐った野菜や腐った卵、さらには糞尿の悪臭が漂い、二十四時間休むことなく横断幕やプラカードを掲げて抗議する人々が絶えなかった——
「橋本羽は芸能界から出て行け!」
「ユニバーサルは毒を庇うな!」
「被害者に正義を!」
……
ユニバーサル会議室。
全員が頭を垂れて黙り込み、空気は凍りつくほど重かった。