雨宮由衣は橋本羽が突然自分の寮の部屋の前に現れ、大小の荷物を手に提げているのを見て、しばらく呆然としていた後、やっと我に返って驚きながら尋ねた。「これは……」
「春樹兄から君が隣に引っ越してきたと聞いたから、挨拶に来たんだ」橋本羽は礼儀正しく答えた。
雨宮由衣はその言葉を聞いて、驚いて隣の方向を見た。「ここに住んでいるの?」
橋本羽は少し困ったような表情で答えた。「元々は東区の方の別荘に住んでいたんだけど、君も知っての通り、最近の件で私の個人住所が全部流出してしまって、だから一時的にこちらに戻ってきたんだ……」
雨宮由衣はやっと理解した。「なるほど」
雨宮由衣は思わず橋本羽をもう一度見つめた。彼は今日、ジーンズに黒いレザージャケット、中に柄物のシャツを着て、白いスニーカーを履いていた。左耳には矢羽根型の特徴的な銀のピアス、やや茶色がかった短髪は少し乱れていた。