ただ、容姿は変わらないものの、人の雰囲気は変わるものだ。
三年前の等々力辰は白紙のような存在で、清らかで無垢で、才能と天性に溢れ、その独特な雰囲気は欲望渦巻く芸能界では清流のような存在だった。
しかし同時に、そのような清らかさは人々の汚したい、踏みにじりたいという欲望を掻き立てやすかった……
今の等々力辰の顔立ちは相変わらず繊細で完璧だが、まるで真っ白な雪原のようで、まだ少年の姿をしているのに、瞳の奥は荒涼として、まるで老人のように、一筋の光も宿っていない。
雨宮由衣はずっと理解できなかった。あの時『ビックリドラゴン1』の主要キャストは全員大ブレイクし、脇役でさえそれなりに成功していたのに、なぜ等々力辰だけが姿を消したのか。今になってようやく分かった。
当時の等々力辰はまだ十八歳で、大学に入ったばかり、夢を抱いて人生初の作品に出演し、大成功を収めた。彼の人生はまさに始まったばかりだった。
十八年間耐えてきて、ようやく自分の愛する仕事を始められ、ようやく母親に良い暮らしをさせてあげられると思った……
しかし、それら全てが周藤史良によって潰されてしまった……
彼には権力も地位もなく、発言力もない。周藤史良の一言で追い詰められ、同期の芸能人たち、彼より劣る者たちが次々とブレイクしていき、彼を遥かに追い越していくのを、ただ見ているしかなかった……
母親が日に日に衰弱していくのを目の当たりにしながら、自分は何一つ成し遂げられず、未来への希望も見えない……
等々力辰は前世であまりにも存在感が薄かったため、雨宮由衣が彼について知っているのは『ビックリドラゴン1』のことだけだった。だから、等々力辰の前世での結末が具体的にどうなったのかは分からない。きっと良い結末ではなかっただろう。彼がずっとブレイクできなかったということは、最後まで周藤史良に屈しなかったということだ……
ソファーの上で、等々力辰の体つきは華奢で、漆黒の髪は柔らかそうに見え、病的なほど白い肌は触れただけで壊れそうだった。
雨宮由衣は、彼が首を垂れて、黙々と自分の傷の手当てをする姿を見つめていた。従順で素直そうな様子に、胸が妙に柔らかくなった。
仕方ない、彼女は精神年齢二十七歳の大人の女性なのだから、こんな純粋で柔らかな子羊を見れば、母性本能が刺激されるのも当然だ。