「詩音、行きましょう。お爺様にお祝いの挨拶をしに行きましょう!」
娘が帝都メディア大学に合格したことを思い出し、北条敏江は再び誇らしげな表情を浮かべ、二宮詩音を連れて主席の方へ歩き出した。
二宮詩音と北条敏江が近づくと、主席に座る長老たちは二人に視線を向けた。
「お爺様、ご長寿をお祈りいたします」二宮詩音は隣の老人を見つめ、愛らしく微笑んで言った。
雨宮弘は動じることなく、非常に落ち着いた様子で、顔には年齢を感じさせるものの、獅子のような威厳を漂わせていた。
しばらくして、雨宮弘は頷いて承知の意を示した。
「詩音」北条敏江は雨宮弘の隣に座る白髪で老眼鏡をかけた老人を指さして言った。「こちらは帝都メディア大学の客員教授の里村教授よ。早く挨拶しなさい!」
間もなく帝都メディア大学に入学する二宮詩音のため、北条敏江はこの機会に里村教授と知り合いになりたかったのだ。