傍らにいた雨宮靖臣は少し酔っているようで、瞳には嘲笑の色が満ちていた。低く嘲笑いながら、「はっ、守る?お前に何ができる……うちは終わりだ……とっくに終わってる……全てが終わったんだ……」
今や彼らには何もない。叔父さん一家と戦うにも、失ったものを取り戻すにも、何もないのだ……
はっ……なんて甘いんだ……
雨宮靖臣の言葉で、食卓の雰囲気は再び沈黙に包まれた。
そのとき、主席から突然感嘆の声が上がった。
すぐさま、その場にいた全ての来客が主席の方を見やった。
雨宮望美と黒田悦男の二人が、一幅の書画を取り出し、それを広げた。
書画の内容からは、古めかしく悠遠な雰囲気が漂い、まるで人々を画中の世界へと誘い、その遥かな時代の山水を体験させるかのようだった。
雨宮弘は書画をしばらく見つめ、瞳に驚きの色が浮かんだ。
主席では、書画を愛好する数人の老人たちが急いで立ち上がり、雨宮弘の傍らに歩み寄って、しばらく鑑賞した後、感嘆の声を上げた。
「素晴らしい!これは確かに梅原敬蔵先生の筆による書画だ!」ある老人が興奮して言った。
書画の最下部には、梅原敬蔵の印章があった。
「秋の山居図か?」雨宮弘は書画から目を離すことができないようだった。
雨宮弘は書画や骨董品を愛好しており、書画は特に重視していた。現代の名家の中で最も賞賛されているのは、国宝級の日本画の巨匠、梅原敬蔵だった。
梅原敬蔵の書画は一幅一幅が極めて高い収集価値を持ち、国内随一で、誰も超えられない存在だった。
「おじいさま、これが秋の山居図です」雨宮望美は優しく言った。
「おじいさま、望美は梅原先生の書画がお好きだとわかっていましたので、いろいろと奔走して、ようやく梅原先生から秋の山居図を譲っていただきました」黒田悦男は笑いながら言った。
先日、黒田悦男は黒田グループの関係を利用して、父の名義で書画を求め、本来なら梅原先生に宴会に直接来ていただこうと考えていたが、梅原敬蔵先生は本当に招くのが難しく、検討すると言っただけで、明確な返事はなかった。
元々、黒田悦男と雨宮望美の二人はまだ期待していたが、今日に至るまで、梅原先生からは何の連絡もなかった。
「望美、ご苦労様」雨宮弘は雨宮望美を見て、瞳に慈愛の色を浮かべた。
「おじいさまが喜んでくださるなら、望美は満足です」雨宮望美は言った。