第370章 やりすぎた

雨宮由衣は話しながら、写真を庄司輝弥に送信した。

写真には、ある喜劇役者らしき人物が写っていた。八十年代の古臭い赤いチェックシャツと緑のストレートパンツを着て、分厚い黒縁メガネをかけ、肌は浅黒く、大きな前歯が目立ち、しかもスキンヘッドという、言葉にし難い姿だった。

雨宮由衣は興奮気味に尋ねた。「どう?すごく安全でしょ?」

安全どころか、向こうから貢いでも女の子に相手にされないだろう!

完璧すぎる!

しかも絶対に誰だか分からない!

庄司輝弥はその写真を見た時の表情は「……」

雨宮由衣は良心が痛んだのか、この美貌の持ち主にこの写真通りの姿を要求するのは少し酷だと思ったらしく、少し譲歩して言った。「えーと、髪の毛はあってもいいかな……」

「赤いシャツが派手すぎるなら、緑に変えてあげる?」

「メガネも外す?うーん、だめだめ、あなたの目は人を惹きつけすぎるから、メガネは必要……」

……

庄司輝弥の表情がますます険しくなっていくのを見て、雨宮由衣は唾を飲み込んで、諭すように話し始めた。「ねぇ、私だってこんなことしたくないのよ。でもあなたの顔があまりにも……」

庄司輝弥は冷ややかな表情で「浮気しそう?」

雨宮由衣は慌てて「そんなわけないでしょ!あなたの私への気持ち、私が分からないわけないじゃない!私が一番醜い姿でも嫌がらなかったでしょ!ただ両親が心配するんじゃないかなって……」

結局、雨宮由衣は口が酸っぱくなるほど説得したが、話し合いは決裂した……

錦園。

マンションに戻った後も、雨宮由衣は諦めきれずにもがいていた。

「ねぇ、こう考えてみて。あなたがブサイクなのに、超美人を連れているとしたら、みんなきっとあなたを金持ちだと思うでしょ!それってすごくない?あ、でもちょっと違うかも……あなたは元々お金持ちだったわね……」

雨宮由衣は完全に絶望的だった。

雨宮由衣を玄関まで送った後、庄司輝弥は部屋に入るつもりもなく、そのまま帰ろうとした。

雨宮由衣は焦って、急いで庄司輝弥の前に立ちはだかり、彼を部屋の中に押し込んだ。「どうしてこんなに理不尽なの?私はあなたのために何度も醜い姿になったのに、あなたは私のために一度もできないの?」