第349章 まさか庄司輝弥なのか？

宴会場の中は静まり返り、人々の視線は一瞬で雨宮望美と黒田悦男から雨宮由衣へと移った。

最初は梅原敬蔵が雨宮弘の誕生日を祝うために雨宮望美が招いたと思っていたが、先ほど梅原先生が自ら語ったように、彼の来訪は雨宮望美とは全く関係なく、完全に雨宮由衣のためだったとは……

梅原敬蔵の言葉が落ちると同時に、雨宮望美と黒田悦男の顔に浮かんでいた笑みが一瞬で凍りついた。

「梅原先生のおっしゃる意味は、先生は由衣のために来られたということですか？」黒田悦男は重々しく尋ねた。

「そうですとも」梅原敬蔵は当然のような口調で答えた。

「……」黒田悦男は言葉に詰まった。

一方、雨宮由衣は表情こそ無表情で、とても深遠な様子を見せていたが、実際には心の中は完全に呆然としていた。

どういうことだろう？

なぜ梅原敬蔵は彼女を知っていると言い、おじいさんの誕生パーティーに来たのは彼女の依頼だと言うのだろう？

梅原敬蔵は帝都でも誰も動かせない存在なのに、彼女にそんな大物を動かせるほどの面子があるはずがない。

雨宮由衣にはどうしても理解できなかったが、突然、頭の中である名前が閃いた。

庄司輝弥？！

もし彼なら、簡単にできることだ。

でも……そんなはずがない……

彼女がここに来るのを邪魔しないだけでも大恩なのに、どうして彼女のおじいさんに誕生日プレゼントを贈る手配までするだろうか？

梅原敬蔵がどうして彼の父親に招かれたのではなく、雨宮由衣のために来たというのだろう？

黒田悦男は当然信じられず、さらに追及しようとしたが、梅原敬蔵の態度は既に非常に明確で、これ以上質問を続けても自ら恥をかくだけだった。

そこで、落ち着いた態度で「いずれにせよ、本日お越しいただき、誠にありがとうございます」と言った。

雨宮望美も誠実な表情で「そうですね、おじいさまが喜んでくださればそれでいいんです！由衣が梅原先生のような方と知り合いだったなんて、思いもよりませんでした……」と附和した。

この時、宴会場内では驚嘆の声が次々と上がっていた。

「私たちは皆見誤っていたようですね。雨宮家のあの噂の勉強嫌いのお嬢様は、実は隠れた実力者だったんですね！」

「本当にそうですね！梅原敬蔵のような方と忘年の交わりを持てるなんて！帝都のどこの若い世代にそんな力があるでしょうか？」