第350章 由衣をどこに置くのか?

梅原敬蔵は眉をひそめ、困惑した表情を浮かべた。「私は雨宮さんのおっしゃる方を存じ上げません」

相手の完璧な演技を見て、雨宮由衣は呆れてしまった。自分が梅原敬蔵のような人物と知り合いになる機会など絶対にないはずだと確信していた。

まさか大家がこんな演技派だったとは。この演技力はすごすぎるじゃないか?

まあいい、相手が認めないなら、これ以上聞いても無駄だろう。

雨宮由衣は会話を諦め、両親のところへ戻った。

黒田悦男は先ほどから雨宮由衣の方向をずっと見つめており、二人が楽しそうに話している様子を見て、表情が曇った。

あの彫刻品はまだ理解できるとしても、雨宮由衣がどんなに腕を上げたところで、梅原敬蔵のような人物がプライベートな誕生会に来てくれるはずがない。

梅原敬蔵を招待できる可能性があるのは、帝都でもおそらく……